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危機管理について考える~危機を危機と感じるために~
2018.06.21

梅雨のじめじめした雨模様が続きますね。ただ、これだけ異常気象の中で、1年に1回きちんと梅雨が来るというのもほっとするような気もします。美しい紫陽花の花を見ると少し癒されますね。
さて、日本大学のアメリカンフットボールの事件、みなさんはどのようにご覧になったでしょうか。事件については様々な見方がありますが、今日は危機管理について考えてみたいと思います。
■ 1.危機管理の基本
危機は、リスクが実際に顕在化している状態です。危機には自然災害のようにその発生自体を自らコントロールできないものや、「不正・不祥事」や「事故」
のようにリスクマネジメントをしっかり行うことで発生自体をコントロールできるもの、及びサイバー攻撃やテロなど故意に起こされる事故の3つがあります。
(「健全なる組織はクライシス感度が高い」DIAMOND HBR 編集部)ただ、いずれの場合も、危機が生じた場合、その危機に迅速かつ適切に対応することで、その危機による被害を最小限にとどめ、なるべく早く平時の状態に戻すことが求められます。これが危機管理の基本です。
■ 2.危機管理の最初の関門
東日本大震災や熊本地震などの大きな自然災害のような場合、誰もが危機だと認識をすることができます。このため、組織全体で「危機対応モード」のス
イッチが作動し、危機管理のために事前定めた指揮命令系統や対応マニュアルにしたがって行動していくことになります。
一方で、今回の日本大学の対応を考えると、今目の前に起きている状況が危機だと認識できなかったことで初期対応を誤ってしまった結果、より重大な危機を招いてしまっているように思います。
つまり、危機を危機と認識できるかが危機管理に成功するかどうかの最初の関門ということになります。この初期対応を誤ると、問題の中身や背景に正しく目を向けられることなく、非難やバッシング、炎上といった状況になって
しまいます。

一度このような状況に陥ってしまうと、後から何をやっても非難される一方となります。(マスコミのヒステリックな対応もどうかと思うところはもちろんあります。)そのような非難やバッシングに対して冷静に対応する
のは大変難易度が高く、どうしても感情的に応戦してしまい、またバッシングを受けてしまう、というのは今回の件に限らず過去の多くの不祥事の謝罪会見で見られてきた光景ではないでしょうか。

■ 3.いきなり「重大な危機」になるわけではない
「不正・不祥事」といったリスクは、いきなり「重大」な危機になるわけではありません。重大な危機になる前に小さな危機が生じているはずです。
「ヒヤリハットの法則」「ハインリッヒの法則」ということでよく知られていますが、重大な事故の前には予兆なるような小さな兆候あるはずです。
本来であれば、この段階で自ら危機の存在に気づき、いわゆる自浄作用を発揮することが求められることになります。

この点、2018年3月に日本取引所自主規制法人から公表された「上場会社における不祥事予防のプリンシパル」の「原則4」の中で、「コンプライアンス違反を早期に把握し、迅速に対処することで、そが重大な不祥事に発展すること
を未然に防止する。早期発見と迅速な対処、それに続く業務改善まで、一連のサイクルを企業文化として定着させる。」と書かれています。

ところが、もともとムラ社会の日本人には、「調和を重視する価値観」「集団内の軋轢を避けるインセンティブ」が強く働きがちです。(「会社は頭から腐る」富山和彦著)小さな危機が目の前にあるのに「見て見ないふり」「無関心」で
放置されていたり、「前任がやっていたから」という思考停止の状況になって違反行為が長年続けられることで、気がついた時には危機が大きくなっているということになりかねません。

■ 4.見てみないふり、無関心、思考停止を防ぐには
違反の事実というよりは、「違反を指摘することをあきらめて見過ごしてしまう人が生き残っている(えらくなっている)組織文化」が本当は一番の危機なのかもしれません。危機の中にいる人たちの危機感が薄いため、このような危機は
質(たち)が悪いと言えます。

見てみないふり、無関心、思考停止とならないためには、業務を行う中で「何かおかしい」「これでいいのかな」というような疑念や「まずいことになるかもしれない」「危機につながるかもしれない」というマイナスの情報が
どこかで目詰まりすることなく適切な人に伝わるような仕組みが整備され、それが実際に運用されていることが必要です。そして何よりそれを伝えやすい雰囲気の組織であることも重要です。

まずは、最初の第一歩として皆様自身にマイナス情報も含めた正しい情報が入ってくるかどうかを自己点検してはいかがでしょうか。

自己点検項目とし、これまで私が意識してきたことをご紹介します。決して私が完璧にできているわけではなく、「意識してきた」ことです。そのあたりはご容赦下さい。

・「ちょっといいですか」と声をかけられたら膝をきちんと向けて口角を上げて「何ですか」と言う
・上司でも部下でもお客様でも取引先様でもリスペクトをして話を聞く
・まずは共感してみる(「なるほど」「そうなんだね」という相槌が多くなります。)
・「ジョハリの窓」を意識する
・前向きのフィードバックで話を終わりにする

これを書いていて、仕事では意識しているのに、娘に対してはさっぱりでいつも頭ごなしに叱っているな、と思うのでした。