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コラム
OJT 機能していますか?
2017.09.05

■ 1.OJTとは

OJT(On the Job Training)とは職場の管理者や先輩が、部下や後輩に対して仕事を通じて指導育成を行うことを言います。これに対して、職場から離れて受講するタイプの指導育成方法をOFF-JTといます。

少し前の調査にはなりますが、2010年の産業能率大学による「経済危機下の人材開発に関する実態調査」によると、回答企業の9割近くが、人材育成の方法として「OJTが中心」と回答しているそうです。一方で「OJTが有効に機能している」と回答している企業はなんと12%、1割強に留まっているとのことです。

また、2014年のCFO協会による「経理・財務部門の組織・人材に関する調査」によると、経理財務部門における主な教育手段として「OJT重視」と回答した企業が76%となっています。これに対して「教育・研修や自己啓発支援の充実度」に対しては「充実している」とした回答が24%であったのに対して「充実していると思わない」が56%となっています。

職場ではOJTが主な人材育成の手段になっているにも関わらず、その満足度は低いというなんとも残念な結果となっているようです。

OJTが主な教育手段になっているというのは、それ以外に教育・訓練する制度がないことが多いという背景があるように思います。また、満足度が低いのは、そもそも何をどのように教育するのかが、各個人任せになっていることが大きな容認になっているようです。

もちろん、OJTを会社全体で見直していくことももちろん必要ですが、今日は、もう少し簡単な「各自でもできる」OJTのちょっとしたヒントをご紹介していきます。

■ 2.時間を区切って例示を示す

このメルマガの読者の皆様は、OJTを実施する側の方が多いと思います。ご自身でOJTを十分できていないと感じているとしたらその理由は何だと考えますか。

前述の産業能率大学の調査では、「指導する人の時間が取れないから」という理由が第一位となっています。確かに誰かに管理者は様々な業務が多忙で、じっくり教育する時間はなかなか取れないことが多いですよね。
では、時間があれば解決するのでしょうか。

「人間が最も効率的に物事を考え、様々なアイディアが出るのはどんなときか」という研究があります。物事を考えるには、時間の締め切りを持たせた「速考」と、時間の締め切りを持たせない「熟考」といった方法があります。また、考えるにあたって「フリーで考えさせる」ものと、「例えばこういうことも考えられる」といったヒントを与えるといった手段があります。

この研究では何が一番効率的で、アイディアが多くでた考え方は、「速考」で「例示がある」の場合で、一番効率的でないのは「熟考」で「例示なし」の場合だと結論づけています。

OJTをする際に、部下に自分で考えさせることは大事ですが、あくまでも上司がヒント(例示)を示し、そして時間を区切って実施させることでより効果的な指導ができそうです。

また、ある教育機関の調査では、自分の仕事を犠牲にする「滅私」の精神で生徒に接すると、生徒の成績の伸びが悪くなるそうです。精神誠意尽くしすぎることが部下の成長を妨げることになるかもしれません。

「何もかも教えてあげる」のではなく、時間を区切り目標を与え、「例示」で導くことで効率的なOJTができるかもしれません。

■3.すぐほめると行動が強化される

人間の行動は「ほめられる」とそのほめられた行動をくり返し行うようになるそうです。これを行動分析学では行動の「強化」といいます。逆に怒られたりイヤな顔をされた場合には、その行動を次第に行わなくなります。これを行動の「弱化」といいます。

この「強化」の効果は、なんと行動が起こってから60秒以内で薄れてしまうそうです。「ほめて育てる」ということを言いますが、望ましい行動や発言があった時にすぐにほめることがポイントのようです。

例えば、「わからないことがあったら、すぐに聞いてほしい」と思っているとします。部下の方が「ちょっといいですか。」と質問に来たら、笑顔で「なんでしょうか。」ときちんと聞く態度をとって聞く、そして質問をしてきたことについて「よく質問にきたね。」「いい質問だね。」と返す、このようにすることで、「質問をする」という行動が強化されることになります。

逆に、「忙しいから少し待って」と言ってしまったり、「面倒くさい」といった態度をとると、質問をするという行動は弱化され、次第に質問には来なくなってしまうかもしれません。

また、もう一つ見逃しがちなのは「何を望むか」が教える側がわかっているかどうかということです。ほめるといってもむやみやたらにほめるのではなく、「望ましい行動をとった場合」にほめることが重要ですから、OJTを行う側が「望ましい行動」「OJTの目的」をはっきりさせておくということが必要となります。

今週の目標は何か、今月の目標は何かといったことをしっかり伝えたうえで適切なフィードバックを実施しないと、ほめられたとしても、望ましい行動の「強化」ができません。

OJTとは少し外れますが、多くの不正や不祥事事例で、「マイナスの情報が伝わりにくい雰囲気」「ものが言いにくい組織風土」といった言葉を聞きますが、そのような状況はマイナスの情報を伝えた時に「怒られた」「聞いてもらえなかった」といった行動が返ってくると、マイナスの情報を早期に伝える」という行動が弱化され、その行動の積み重ねが「風土」を作り上げていると考えられます。「マイナスの情報を包み隠さず、早期に伝えてほしい」と思うのであれば、マイナスの情報を伝えられた場合には、早く伝えてくれたことに対する「感謝」の気持ちを伝えることが必要です。

■ 4.かっこ悪い自分もさらけ出してみる

心を開いて信頼関係を築くには、自分自身のカッコ悪い姿を見せることも一つの方法となります。「ジョハリの窓」という心理学の言葉がありますが、相手が知らない自分を開示することで、相手との信頼関係を築くことができます。

誰でも失敗や弱点はあるものです。この弱い自分をさらけ出すことで、部下の方も安心して自分を開示することができ、より深い信頼関係を築くことができます。
先輩の過去の失敗談は、「この人も昔はそういうことをしてきたんだ」「何も完璧でなくても大丈夫なんだ」といった安心感を与え、新しい仕事や役割に対してチャレンジをする気持ちを持たせることができるかもしれません。

今後、AIが活用されるようになると、人間同士のOJTで受けつがれていた経験や判断が数値化されていく時代になってしまうかもしれません。そうであったとしてもよい仕事をするには職場の人間関係や信頼関係が必須であることに変わりはありません。今後のOJTは、職場の信頼関係や協力関係を築く手段となるのかもしれません。